◇ 神保町
朝から都内に。新日本橋での仕事が予定よりもだいぶ早く終わり、自由な時間ができたので、神保町まで歩いてしまおうと思った。
新日本橋駅は、お江戸日本橋亭に行くときによく利用する駅で、そこから神田駅にかけての一帯はひとまとまりのような感覚がある。落語会の前後になにか食べようかというときには、このあたりをうろうろするのだ。以前は、東京駅から日本橋を通って歩いてくるということもよくしていたが、それも大学生ぐらいの記憶だろうか。コレドというのがいつの間にかできてから、あんまり用のない街になってしまった。いや、単純に距離の問題もある。日本橋亭の最寄り駅は三越前と紹介されていることが多く、新日本橋駅の存在に気がついたのはそんなに昔のことではない。横浜からは横須賀線があるので便利である。
神田駅から神保町まで歩くなんていうこともしたことがないのだが、先日、神田連雀亭に行く際には御茶ノ水駅から歩き、帰りは神田駅に出た。つまり、御茶ノ水駅から神田駅まで歩いたわけで、こんなもんかという距離感をつかむことができた。また、別の用で、少し前に神田駅の西口商店街を歩くこともあり、それぞれの歩いた記憶をくっつけてみたくもなった。ちょうどお昼どきで、土曜日だからそれほどでもないのかもしれないが、活気がある商店街を歩くのは楽しい。これぞ東京っぽい東京の町のムードだと、勝手にいい気分になる。
商店街を抜け、大通りに出ると、ひんやりしたビルの街になるが、そこをがまんして北に向かって歩いていくと、靖国通りに出る。靖国通りまでたどりつくとちょっと明るい街になるような気がするのは日当たりの問題もあるだろうか。新御茶ノ水駅があり、駅の周辺だから、実際に少しにぎやかなことは確かだ。靖国通りを西に向かって進むと、古本屋がぽつぽつと現れ、ここはもう神保町の延長にあるという感じになる。ヴィクトリアを過ぎると、もうなじみのある風景だ。
腹が減り、キッチン南海で食べようかと思って行ってみると、行列ができていたのでやっぱりやめる。移転したキッチン南海は、吉本の劇場と目と鼻の先だった。神保町の吉本の劇場にはたしか一回も入ったことがないはずで、神保町シアターも利用したことがない。場所の記憶もあいまいになっていたが、すずらん通りからこんなにすぐだったっけと改めて思った。その先に、吉本芸人のポスターが貼ってある建物があったが、こっちは事務所かなにかだろうか。
ご飯はあとまわしにして、神保町をぶらぶら。いつものように靖国通り沿いに店頭の均一箱を覗いて歩き、今日はひさしぶりに白山通りのほうに入っていった。タクトという中古CD屋には、なかなか自分好みの古本も置いてあることがわかった。この店で、百均から2冊買う。
十数年前、水道橋でバイトしていた時代があるので、白山通りには懐かしさがある。まんてんというカレー屋の存在を思い出し、路地裏にあるその店にひさしぶりに行ってみるが、さすがの有名店でここも行列ができていた。もう目当てにする店は思い浮かばず、適当に見つけた店に入ってしまおうと思うが、なんとなく気分はカレーから動かせない。ひとつ裏の錦華通りを歩き、「欧風カレー」というのぼりが出ている仙臺という店に入ったら、これが当たり。牛タンカレー、旨かった。
バイト時代によく利用していたベローチェにもひさしぶりに行ってみる。ここで少し休憩し、飯田橋まで歩き、ブックオフにも寄る。それでもまだ日が暮れたばかりという時間で、JRで渋谷に出て、まんだらけにも寄ってから帰った。まんだらけではやっぱりよいものがたんまりと買えた。