◇ ラジオ・ネットニュース
朝、楽天ブログの移植作業を進める。タイムフリーで、先週金曜に放送された、ヒコロヒーの「CURIOCITY」を聴くと、みなみかわをゲストに迎え、映画の話をしていた。みなみかわは、年間100本の映画を観る映画ファンなのだ。ヒコロヒーのいちばん好きな映画は「女囚さそり」だそうである。来週も引き続き、みなみかわがゲストで、今度は読書について語るようだ。
11時半からは「ビバリー昼ズ」を聴いた。高田先生、亀戸の「ロケット団定例集会」を観に行ったそうで、中津川弦さんのネタを再現していた。12時台は、片岡鶴太郎がゲスト。この番組に登場する鶴太郎は生き生きしていて、いちいちものまねを挟み、プロフィール紹介だけで10分を超える。画業の話をしているときに、高田先生、本番で言う話じゃないけどと断りつつ、逆バンジーで天国に飛んでいく竜兵を描いてほしいと注文を出すが、鶴太郎はここだけはちょっと神妙なトーンになり、まだ明るく語ることはしなかった。
ツイッターから見つけた、Yahoo!ニュース の山下達郎インタビューを読んだ。聞き手は能地祐子。サブスクの配信はしないという発言が話題になっているようだが、ボイストレーニングはあまり信用していないという話も面白い。「ボイストレーニングはあまり信用してないです。個性をなくすから。例えばオペラのベルカントなら、スカラ座の壁を突き破るような声を出すための訓練が要る。でも、僕らはマイクに乗っける声なので、しゃがれ声でもとっちゃん坊やでも、それも個性になる。」
Yahoo!ニュースの記事でもうひとつ、「笑点」の助っ人を分析した堀井憲一郎のコラムも面白かった。昇太と志らくの関係をきちんと指摘している。「仲がいい、というのとは違うとおもうが(たぶん楽屋であまり話をしていないようにおもう)、同じ時期に前座だったことのある仲間であり(昇太の入門は1982年、志らくは1985年)、落語冬の時代を乗り越えてきた同志という気配を感じる。たとえば、5月22日の最初の挨拶で、志らくは「(私は)若いころ笑点批判をずいぶんしたと言われてますけれど、ここだけの話ですけれど、司会の昇太さんも若いころ、笑点なんか絶対出ないっつってましたからね」と言って、このあたりが「落語冬の時代の若手」同士らしいやりとりなのだ。昇太も否定せず「悪いやつだなあ」と返すばかりで、通じあっている空気があった。」
◇ 新宿
午後から都内に。横浜から東横線に乗り、副都心線直通で、新宿三丁目に出る。先に昼食にしたいと思い、めったに利用しない高島屋寄りの出口から出てみるが、決められないまま、紀伊国屋まで歩いてしまった。紀伊国屋は、しばらく寄らないうちに改装されていて、店内がずいぶんすかすかになっていた。本屋の魅力がわかっていない人間による設計という感じがして、じつに居心地が悪く、つまらない店になってしまったものだ。2階に上がってみると、2階も同じようにすかすか。上の階も気になり、昇ってみると、3階より上は昔と変わらないようで、少しほっとする。1階に戻り、おもての階段から地下に降りてみると、リニューアルオープンを知らせる貼り紙があり、5月27日からこうなったようだ。
紀伊国屋の裏から出て、靖国通りのブックオフまで足を延ばした。うっかりしていたが、お気に入り店舗に登録しそびれていて、アプリのクーポンは使えず、110円の文庫本を2冊、220円の単行本を2冊買った。時間に余裕があるので、めったに足を踏み入れない新宿一丁目のほうを歩いてみると、シアターサンモールの近くなのだと、今さら位置関係を把握する。しかし、無駄に歩きまわり、昼食が遅くなってもいやだと思い、小諸そばを見つけて、鶏から丼セットを食べた。590円。
新宿二丁目を通過し、花園神社にたどりつく。夜に花園神社のテント小屋で、新宿梁山泊の芝居を観るのだが、まだ明るいうちに写真を撮っておこうと思った。開演前になると、混雑もするだろう。時間まで、すぐ近くのベローチェに入り、ひと休み。スマホの充電もしておきたかった。
◇ 演劇
18時半開場、10分を過ぎたころに花園神社に戻る。数年前に大鶴義丹の「昭和ギタン」という本を読み、とても面白い本だったのだが、その後、大鶴義丹が参加している新宿梁山泊の存在を知り、観ておきたいとずっと思っていた。ついに初観劇が叶うというわけである。テントの手前は指定席の入り口で、桟敷席は反対側に入り口があった。チケットの整理番号がなぜか1番だったのだが、開場後に入れば関係はない。検温、消毒をして、自分でチケットをもぎり、靴を入れるビニール袋をもらう。上手側から場内に入ったかたちだが、桟敷席の真ん中には花道が通り、分割されている下手側がまだ空いていて、そちらに進み、腰を降ろした。スタッフたちが元気よく案内をしていて、ひさしぶりに感じる芝居小屋の熱気がさっそく楽しい。開演前に、桟敷席は水が飛んでくるというので、2列目までは、横長のビニールシートが渡されていく。ぜんぜん気が及んでいなかったが、この手の芝居で、そういうことがあるのはわかりきったことだ。最初は3列目に座っていたが、後ろの席に客が増えてきたので、前に詰めて、2列目になり、ビニールシートを使うことになった。満席になるのかと思ったら、桟敷席は意外とゆったりと座れた。開演直前に、演出の金守珍が登場し、前口上を述べる。公演の案内をしているかと思えば、客席に渡辺えりがいることを明かし、指したほうをふり返って見ると本当に座っていた。上演時間は2時間半という長丁場で、休憩を2回挟むことも最初に説明される。上演時間も気にしていなかったが、そういえばそうかと思うことばかりだ。観劇の間が空くと、ずいぶん鈍くなってしまうものだ。
19時開演。「下谷万年町物語」というこの公演は、もともとは蜷川幸雄が演出する大劇場での上演用に唐十郎が書き下ろした作品ということだが、そのことも、今回、これを観ようと思うまで知らなかった。それを改めて、テントで上演するという試みなのだ。唐十郎作品についても、世代的にはどうしても体験が乏しいから、新鮮に楽しみにしていた。幕が開くと、舞台前方が水槽になっていて、桟敷席からはすぐ目の前なのだが、始まると、俳優たちがなぜかばんばん水に飛び込む。なるほど、これはビニールシートが必要なわけだ。時代は戦後、上野にあった貧民窟の物語だが、序盤は水をよけることに気をとられ、物語がまるであたまに入ってこない。なにしろ、初めて観る新宿梁山泊だから、出演者はほぼ知らない俳優たちばかりで、配役もすんなりとは覚えられない。楽しみにしていたのは大鶴義丹の出演だが、登場すると、その風貌がまず見事で、そのつど、笑いをしっかりとさらっていくのがさすがだった。そのほか、有名俳優では松田洋治が出ていることにも驚くが、大きな見せ場がある役ではなく、さらっと出ている。知らない俳優でも、気になる俳優はあとで検索して調べたが、蜂谷眞未という主演の女優は、どうしてもいちばん印象に残った。水中から抱えられて登場する最初の場面も鮮烈だったが、あとの場面では、赤いスリップ姿で、汗まみれになって立ちまわる。芝居の迫力もすごいが、この舞台を連日こなす、体力的な負担もすさまじいだろう。そして、もうひとりの有名俳優、六平直政の出演にも期待していたが、開演から2時間近くが経ち、三幕目になり、ようやく登場した。六平直政の年齢で、このテンションの芝居を長時間はきついだろうと思ったが、さすがに登場時間は短くしてある。六平は花道の後ろから現れ、着物の女装姿で、くちから水を吹いた。出演は短くとも、その存在感は圧倒的だった。2時間半、過剰なエネルギーで駆け抜けるような舞台で、ラストはもちろん、期待どおりに舞台後方が開き、上下左右から水が噴き出した。終演後、テントから出ても、花園神社をすぐには出る気にならず、だらだらと写真を撮っていた。
帰宅は深夜0時近くなり、冷凍のジャージャー麵を食べながら、録画していた「徹子の部屋」(ゲスト・鳳蘭&紫吹淳)を観て、深夜2時頃に眠った。