◇ 後楽園
どうも寝ぼけていたようで、早く目覚めすぎてしまい、録画していたテレビ番組を朝っぱらからいくつか観ていた。「タモリ俱楽部」や「週刊フジテレビ批評」。そのあとは、文化放送のいとうあさこの番組を、家を出るまでつけていた。朝から都内に。土曜の朝の電車はゆったりしていて、読書が進む。まず、御徒町のほうに用があり、そのあとに後楽園のほうまで移動することになったのだが、これがちょうど、都合がよかった。昼食は午後になり、メトロ・エム後楽園のカレーの王様に入り、ごろごろチキンカレーを食べた。600円。
今日15時から、れいわ新選組の決起集会が池袋で行われることをツイッターで知り、予定次第では寄れるかもしれないなと考えていたのだが、後楽園ならば、池袋までは丸ノ内線一本だ。どうせならば、水道橋から向かったほうが気が利いているかともちょっと思ったが、後楽園から一本で行けるものを、わざわざ水道橋駅までまわり道するのはさすがにめんどうになった。
◇ 池袋
14時前には池袋に着いてしまった。れいわ新選組のツイートには、西口のマツモトキヨシ付近と書いてあり、行ってみると、すでにのぼりがいくつも立っている。時間をつぶすにも中途半端なのだが、東京芸術劇場の地下にベンチがあったはずだと思い、それもずいぶん前の記憶だったのだが、行ってみると、コロナ仕様で椅子はまばらに並べられてある。かろうじて、空いてる席を見つけて、少し読書をしていた。それよりも、体力的な心配があり、駅から離れ、まいばすけっとを探し、栄養ドリンクとエクレアを買って食べておく。
池袋西口に戻ってきたときには、15時を少し過ぎてしまった。マツモトキヨシ付近というよりも、もっと正面寄りというか、広場になっているところにステージが作られていて、バンドが演奏をしている。ギャラリーの群れに加わり、見物しやすいポジションを確保しようと、写真を撮るのに逆光にならない、やや下手側に立った。しかし、この演奏がなかなか終わらない。日差しがきついところで、ただ突っ立っているのもきついものだ。15時半になり、ようやく変化があり、ステージ上に設置されたモニターにはれいわ新選組のプロモーション映像が流れ、山本太郎が登場した。ステージの脇には、水道橋博士のすがたもすでに見える。山本太郎の演説というか口上というか、独特な節をもつスピーチから始まると、ギャラリーの輪の外側からさっそく怒鳴りつけるような声が飛ぶ。なにを言っているのかと思ったら、「日本のゼレンスキーになれ!」と応援しているのだった。連呼しているので、山本太郎もさすがに無視はできず、最初は不審に思ったようだが、好意の声だとわかると笑顔で応じていた。だけど、先日、玉城デニーの発言が批判されたばかりだというのに、日本のゼレンスキーとは危なっかしい応援もあるもんだ。そして、山本太郎とともに今日の司会を務めるという、大石あきこも登場する。詳しくは知らないが、維新を激しく批判しているのがこのひとだ。れいわについての予備知識はほぼない状態でこの場にやってきているのだが、山本太郎が司会をやるのはわかるが、大石あきこというひとも話が上手い。元大阪府職員という肩書きしか知らないが、なぜこんなに話が上手いのだろう。明るく、政治家臭さがないのも長所だと思った。
そしてこのあとは、山本太郎と大石あきこが司会進行役となり、候補者たちが続々と紹介され、登壇するという時間が続く。まずは、埼玉選挙区の候補予定者、西みゆかが登壇。続いて、比例区候補予定のつじ恵。このひとはバンド演奏のあいだに、ギャラリーのなかを名刺を配ってまわり、自分も一枚もらった。
続いて、水道橋博士が登壇。政策というよりも、ことの経緯を語っただけにすぎない演説だったが、どうも言葉が流暢ではない。 大石あきこが岸田首相を「財務省の犬」と非難した発言(これもよく知らなかった。)を受け、「犬はわれわれ、飼い主は国民。僕はただの犬、あなたが飼っている犬です。」「僕があなたであり、あなたが僕である。」と、詩的表現で訴えかけるのはいいのだけれども、面白いことをいっさい言わないし、言おうともしないことに、三十年来の浅草キッドファンとしては戸惑わされる。
そして、このつぎには、博士が「友人」として紹介し、ぜんじろうが登場した。壇上にあがる前から、ステージ脇のテントで、博士としゃべっているすがたが見えていた。ぜんじろうは応援演説ではなく、あくまでもスタンダップコメディで通した。まったく冗談を言わない博士のあとに、さすがにプロの芸を見せるぜんじろうにはほっとさせられる。
続いては、3年前の参院選で当選した木村英子が登壇した。ステージの横にはスロープがとりつけられ、車椅子であがる。そのつぎには、比例区候補予定者、トランスジェンダーを公表しているよだかれんが登壇。マイノリティの候補者が目立つ。続いて、同じく比例区候補予定者の長谷川ういこが登壇。
そして、ここでまたお笑いコーナーになり、山本太郎に「アニマル浜栗」と紹介されて登場したのはよしえつねおだ。アラレちゃんのかっこうで現れ、ものまねを披露する。博士が連れてきているわけだが、これは本当にひどいと思った。ぜんじろうのようなネタならばわかるが、れいわとはなんの関係もないこのひとを、ここに登場させることになんのプラスがあるのかまったくわからない。それどころか、マイナスではないのか。せめて、アニマル浜口のネタだけにすればいいのにと思うが、山本太郎もどういうつもりで認めているのだろうか。この時間、博士はギャラリーの側に混じり、一緒になって喜んで観ていた。(いや、ギャラリーはそんなに喜んでいたとは思わないが…。)
続いては、衆議院議員のくしぶち万里が登壇。さすがは現職で、このひとの話は明晰でよかった。そしてまた、比例区候補予定者が続く。キムテヨンというひとの話には凄みがあった。そして、大島九州男、高井たかしと続くが、このあたりは議員経験者で、旧来の政治家臭い言葉づかいになってくる。そして、もうひとりの現職参議院議員、舩後靖彦も登壇する。舩後さんは代読でスピーチをしたが、「舩ちゃんと読んでください」といって笑いを起こしていた。多くの候補者たちはそれぞれジョークも交えていて、いちばんジョークを言わないのが水道橋博士だった。トリは大石あきこが改めて演説をする。今日の登壇者全員の演説を聴き、現職の衆議院議員であるふたり、大石あきこ、くしぶち万里が、いい意味で政治家臭さがなく、明晰さにも好感をもった。
そのあとにはまた、山本太郎が政策を語るのだが、モニターを使い、比喩のために山羊のケンカの動画を用意したりなど、効果があるかどうかは別だが、面白くしようとする演出をいろいろと考えている。最初に登場していたバンドと同じだったのかはわからないが、演説のあいだもずっと、音楽の演奏を薄く続けていたのも面白い試みだった。
18時からは、ギャラリーにマイクをまわし、質問をつぎつぎに受け付ける。ここでも演出があり、質問の制限時間は10秒にかぎられ、モニターにはカウントダウンが表示され、要領を得ない質問を長々としていると強制的に打ち切られてしまうのだ。これならば、多くのひとにマイクがまわることになる。そして、10秒以内に出された質問に、山本太郎が即座に答えていくのがすごい。まるでねづっちのなぞかけのように、芸としてはじつに見事で、山本太郎がいちばんの芸人だ。質問コーナーは1時間ほど続き、最後には記念撮影があるということで、列が作られたが、それには参加せず、集会の場をあとにする。15時過ぎから19時近くまで、4時間弱もの時間をまるまる立ちっぱなしで見物していたのだから、積極的支持者というわけでもないのに、われながらもの好きにもほどがある。
東口に移動し、東池袋一丁目のベローチェに入り、ひと休み。アイスコーヒーと、あんぱんを食べながら、スマホの充電をした。それから、ブックオフに寄り、110円の文庫本を4冊、220円の単行本を8冊買っていく。閉店した飯田橋店でもらった 50パーセントオフクーポンをここで利用した。
帰宅は深夜0時頃になった。録画していた「Nキャス」を観ると、林真理子が日大理事長に就任という話題から始まり、続く、給付金詐欺のニュースでは、容疑者の風貌はまるで子どものようだ。さんざん批判された能登町の巨大イカに観光客が激増しているというのはいいニュースだと思った。深夜2時頃に眠る。